ユーチューバーのヒカルさんがVAZの森社長と立ち上げた新事業が発表されました。その新事業とは、学歴の低い人間が、大企業に就職できるチャンスを与え、高卒の進路の幅を広げるという人材紹介事業です。
これまで誰もしてこなかった発想、見向きもしなかった発想で、年商2,000億円の大手企業「DMM.com」の社員を驚かせていましたね。しかし、この新事業には「失敗するだろう」、「視聴者が騙されている」という見方が圧倒的に多いのです。
ヒカルの事業の魅力的な点
1.少子化による労働力の不足
ヒカルさんの事業の企業側の利点は、「少子化による人材不足の対策」になるという事。日本の人口減少は深刻で、20年後の2048年には、人口が1億人を割って9,913万人になると予想されています。2010年の1億2,806万人と比べると約3,000万人の減少です。
3,000万人と数字だけ見てもさほど実感はありませんが、台湾の人口が2,300万人、韓国の人口が5,000万人です。現在不安視されている少子化は、1つの国が消滅するレベルの人口減少なのです。
そうなると、問題となるのが労働力の不足です。政府は労働力確保のため、女性の社会進出の推進や託児所を充実させて子供がいる方でも働きやすい環境を作ろうと必死に動いています。現在は企業が人材を選ぶ時代ですが、数年後は就活生が企業を選ぶ時代になるのでは無いでしょうか。
もしくは機械や外国人労働者が日本人労働者に取って代わっている可能性も大いにあります。
いずれにせよ「日本人労働者」を欲している世の中だった場合、少しでも企業側に利益をもたらす人材を確保したいと思うため、高校卒業でも可能性のある人間を引き抜きたいでしょう。そこでヒカルさんの事業が現在のタウンワークのように高校生の間に浸透していた場合、活きて来る可能性があります。
現在は高校生のための「就活サイト」や媒体がかなり少ないので、少子化により高校卒業をして就職する人たちの価値が上昇した場合、ヒカルさんらはその事業での老舗となっているわけです。
2.専門的知識を持った学生
商業高校等を卒業しており、専門的知識を持った学生のチャンスの幅が広がる事です。商業高校や専門的分野(語学、服飾、…)を卒業した学生の就職の幅が増える。
しかし、ヒカルの事業は失敗だという声が多数
社会人を中心にヒカルさんの新事業は「失敗に終わるのではないか」、「胡散臭い」、という声が多数上がっています。
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1.学力が無い人間に価値があるのか?
大企業は、専門的知識があったり、本当に優れている人材を求めています。数年前のGoogleで例を挙げると、書類審査・面接・語学力テストで認められた者が「仮就職」が決まります。その後数ヶ月に1度の単位で課題が与えられます。その課題というのが、「商品の提案」、「新しい事業の提案」です。自分で何かを生み出すことを求められます。
その課題で能力が無いと判断されると採用が取り消されるのです。わたしの友人は、理系(化学専攻)で英語とドイツ語が得意な努力型で頭の良い方でしたが、この課題で採用を取り消されました。
誰もが憧れる大企業への就職は思っている以上に厳しいものです。
学力のある人はやはり、努力が出来る人です。一日勉強するだけで難関大学に合格するのは不可能ですし、学力で長年コツコツと地道に努力をして来た事が分かります。更に難関大学の入試テストは、学力に加え発想力を求められる問題が出題されます。なぜ東京大学に受かる事が難しいのか、それは地道な努力に加え元々の発想力が問われるからです。
学力の高さ+αを大学受験の時点で問われています。
専門的な知識+発想力+学力を持った人間だからこそ企業が欲しています。
ヒカルさんが強調している、勉強をしてこなくても地頭の良い人材というのは本当に企業側にメリットがあるのでしょうか?これこそユーチューバーの「好きな事だけで生きていく」に当てはまる人間で、社会が求めている人材では無いのでは?
努力はしないけど頭が良い人材は必要でしょうか?企業側ならばそこそこの大学を卒業している方を選ぶでしょう。
2.ヒカルさんが成功した裏側は努力と運
ヒカルさんが現在大きく成功している理由として、失敗を多く経験し、努力をしたからです。ヒカルさんは就職した工場を喧嘩が原因で数ヶ月で辞め、井川さんの会社で働き始めます。ヒカルさんは、早く仕事を覚えたいと思い、自主的に朝一番に出社し、夜は誰よりも遅く帰宅しました。当時の睡眠時間は3時間で休みはほぼありませんでした。そのせいもあって当時付き合っていた彼女と自分から別れました。
そして大きな成果が出ると金髪で仕事をするなど暴君のような事をし、一度は成功したものの最終的に1,200万円の借金を背負いました。
普通の会社ならば金髪にして来た時点でクビです。
常識破りの破天荒が許されたのは、井川さんだったからでしょう。井川さんはヒカルさんの親友のお兄さんです。昔から親交がありました。
夢と現実は違う
ヒカルさんは、勉強しなくても良い企業へ就職できる方法を作ると言っているように聞こえますが、そうだった場合、残念ながらこの事業が上手く行くとは思えません。やはり、努力が出来ない人間は何をしても上手く行きません。物事の基礎は自分で生み出す事です。
ヒカルさんが紹介した人材が、「こんな仕事無理、だるい」と投げ出したり、ヒカルさんのように上司と喧嘩して揉め事を起こせば、ヒカルさんへの信頼度が一気に無くなります。
奨学金があるから大学には行けるは理想
コメント欄でお金が無くても大学へは奨学金を使用して行くことが出来ると言っている方がいますが、理想にすぎません。その様な方は、学費や少しの生活費の事しか考えていないのです。
大学に行きたくても行けない方は、自分が働かなくては家族も生活が出来ない状況にあるのです。例えば、成宮寛貴さんのように、母子家庭で母親が亡くなってしまったりした場合、弟を養うために成宮寛貴さんは働きました。成宮寛貴さんが奨学金を使用して大学に行っていれば、生活が出来ないでしょう。
わたしの友人の場合も、片親で親が病気になってしまい家計を助けるために就職をしました。友人は、高校に通っていた時から勉強よりもアルバイトを優先していました。それは、少しでも家計を助けたかったからです。友人には妹がいたため、尚更お金が必要でした。
そのため、すべての人間が平等に奨学金を使用して大学へ行ける条件が揃っているわけではありません。
特に母子家庭の長女・長男だった場合、多くの方が就職をする状況となります。
視聴者は意味をはき違えないこと
ヒカルさんが求めている人材は、勉強をせずに遊んでいる人材ではありません。動画では、ヒカルさん自身と重ねて「勉強をしなかった、頭の悪い学生」を強調していますが、実際にヒカルさんが呼びかけているのは、「専門的知識を持った学生」、「勉強以外で抜きん出た特技のある学生」です。
例えば、PCがとても得意な学生、英語が他の学生よりも得意な学生です。
夢や理想に食いつかず、自分でしっかりと本質を見極めましょう。
シバターからの警告
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